空は青く、青く、青かった。白い石畳が真夏の陽光に照りつけられて燦爛と輝いていた。それがどこであったのかよく分からない。古代神殿の庭のようだった。が、それはありえない。現代である。現代の最もありふれた公共施設の敷地の一角である。 まわりに人が…
日の光はぬくもりを帯びてきていたが、風はまだ冷たかった。山の木々はほとんど冬枯れの姿のままだったが、すでに雪は溶けて、ところどころに下草の芽が伸びはじめていた。よい天気だったが、春がすみのために青空がいくぶん白っぽくみえた。山の奥、人里か…
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