ふと、窓の外を見る。真夜中である。空には雲がかかっていて、月も星も見えない。古びた家の立ち並ぶ、田舎の住宅地。人々は寝静まり、街灯のほかに光というほどの光はない。見慣れた景色である。夜々、見るともなしに見てきた景色である。だが今夜の私の目…
天気がよかったので、鳥籠を庭木の枝にかけてやり、私はその木のすぐそばで、庭と道路とを区切る柵にもたれて立っていた。鳥は籠のなかを跳ね回りながら歌った。道路の幅は狭く、人通りも少ない。里山の木々のあいだを縫いながら、いくらか距離をおいて建つ…
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