深夜の私の部屋で、私はひとつのことを、考えるともなしに考えていた。あるいは、夢見ていた。いや、夢のほとりにたたずみ、夢にくるぶしまでをひたしつつも、そこにすっかり身を投じてしまうことはためらわれ、そのためらいについて、考えるともなしに考え…
もはや生命の尽きかけたようにみえる木が、夜明けとも夕暮れともつかない赤みをおびた空の下に立っている。巨木だが、葉はすでに乏しく、幹にいくつか大きな洞ができて、そこからすでに朽ち始めている。大勢の人々がその木をとりまき、不安そうに見上げてい…
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