讃歌

 讃えよう、何ものでもないそれを、何をするでもないそれを、ただ降りそそぐのみの早朝の光を。真新しく、白く、今しがた夜の闇から生まれ出たばかりの嬰児であるそれを。やがて始まる人間たちの営みに、彼らの野心と運命とに、まだ関わりを持たないそれを。まだ彼らの瞳孔に射し入ることもなく、彼らの視線に汚されてもいないそれを。彼らの上に、かつて太陽は幾度ともなく昇り、沈み、それらの日々に一日たりと同じ日はなかった。にもかかわらず、私は思い出す、私の幼い日々、最も幼い日々の記憶のなかでさえも、早朝の光は寸分違わず、このように真新しく、無垢であり、限りなく透明に、何ものでもなく、何をするでもなく、ただ降りそそぐのみであった。ならば光よ、汝は、幾度ともなく繰り返しつつ、しかも時の流れとは関係なく、永遠のものなのだ。私は汝を讃える、かつて遠い日に、よく晴れた春の日の早朝に生まれたという私は、聖なる嬰児としての汝を讃えまつる。