清祓

 喜ばしきかな! 私はどこにもいない。消えてしまった。もはや私を照らす日の光はなく、私の姿を映す水の面もない。風は私といかなる関わりも持たない大地の上を吹いてゆく。大地には草が茂り、花が咲く。すべてが、かつてよりも軽やかになった。私を支える必要がなくなったからだ。光はより透明になり、水は清くなった。私が生まれて以来の煤をはらって、世界はあたかも生まれたての姿に戻ったかのような真新しさだ。見よ! 世界はこんなにも美しかったのだ。そして、それを見る私はもはや存在しない。